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ユーザーの関心を引くタイトル付け・サムネイル設定とは

前回の記事では「ユーザー満足度を上げるための編成のヒント」をご紹介しました。

この記事では、定時配信を受け取ったユーザーが記事を読みたくなるようなタイトル・サムネイルの工夫について見ていきたいと思います。

"タイトルが与える印象”を意識したキャッチ


「女性自身」では軟らかい印象を与えるタイトル付けを意識されているそう。
アカウントメディアの運用を担当する越知恭子さんは、タイトル付けについて下記のようにコメントしています。

軟らかいタイトル付けとは、漢字や仮名のバランスを考え、字面が与える印象を軽やかにすることです。タイトルに漢字が多いと硬い記事という印象を与えてしまい、ユーザーの興味関心を引くことができません。

LINEはコミュニケーションアプリなので、主に友人や家族との連絡や雑談で使われています。アカウントメディアの配信は、そうしたコミュニケーションの中に入ってくる情報ですし、ユーザーの方も脳のモードが軟らかい言葉を読む態勢になっているので、他のプラットフォームに比べても、より軟らかくなるように意識してタイトルを考えています。

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もともとタイトル文字数が短い2、3枠目では時には余分な文字を削りに削って、5文字まで縮めることもあるそうです。

2枠目と3枠目は写真でインパクトを出せますし、1枠目の文字数が多いので、2枠も3枠も8文字全部使ってしまうと、読み疲れを起こす印象があります。むしろ極限まで削ったほうが、タイトルとしても強い印象になり、ユーザーに刺さりやすくなります。

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こうしたタイトルが与える印象について、子育てメディア「Conobie - コノビー」の担当者も下記のようにコメントしています。

(タイトルで)漢字だらけのテキストが並ぶことで、ある種の“モノクロの固まり”として見られてしまい、読者に圧迫感を与えかねません。そのため、語尾に「…」を使って余韻を感じさせる終わり方にし、漢字が続いてしまうときは一部を平仮名に換える、片仮名の語尾で終わらせるなど、読者に硬すぎる印象を与えないように心掛けて編集しています。

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さらに、インタビュー当時の編集長からは、タイトル付けにおける2つの方針を明かしていただきました。

タイトルを作る際“タイトルが自分ごとだと思えること”、そして“クリックする理由があること”という2つの要素を満たすことを意識すべきと考えています。1つ目の自分ごとというのは、読者に対して「“あなた”に関係している記事なんだよ』というメッセージを、キーワードや画像で伝えていくことです。

また、タイトルに込めたメッセージが伝わって目に留まったとしても、“クリックする理由”がないと、読者は記事を読んでくれません。なので、2点目に挙げたクリックする理由を、タイトルでしっかり作れているかどうかもポイントです。例えば“記事の続きが気になるタイトル”なのか“タイトルの理由が気になり、記事を読みたくなる”のか、いろいろな切り口があると思っています。

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テキストのみの4-8枠でも
「クリックする理由」を意識したタイトルを考案

また、画像選びについて、女性誌「婦人公論.jp」編集長の川口由貴さんと、参画時から運用を担当していた谷口法子さんは次のように語ります。

特に2、3枠の画像枠はタイトルの文字数が8文字と短いため、タップしたくなるような有名人を画像に入れたり、人気のある著名人の顔写真をアップにしてタイトルで語りかける口調にしてみたりするなど、工夫を凝らしています。

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「タイトルが与える印象はどうか」「タップしたくなる理由や仕掛けがあるか」など、一歩引いた視点でも眺める重要さを示唆いただきました。

ユーザーに話しかけるようなタイトルで関心を引く


ユーザーの関心を引くタイトル付け・サムネイルの選定
について、別の観点でのご意見もご紹介します。

「Lmaga.jpニュース」で全体を統括している服部崇さんと編集・運用を担当する長田海友さんによると、LINEのトーク画面に記事が届くことから、タイトルやテーマを思い切って攻めてみた記事の方が、トークに埋もれずによく読まれる傾向にあるそうです。

そうした傾向を踏まえた編成・編集において、意識しているポイントを伺いました。

「あれ、これちょっと気になる。なんの建物だろう?」という絶妙な写真だとタップされやすいことが分かったんです。建物かどうか分からない写真はタップされないけど、「なんの建物なのか気になる」という絶妙な線で、そこに「新規オープン!」というタイトルが加わると、ユーザーの興味を引くんです。そうした癖になる、気になるもの、画像とタイトルを組み合わせたときの“違和感”をLmaga.jpニュースというアカウントの個性として大事にしています。

(中略)

アカウントメディアでは、情報を届けるというよりも、タイトルを通してユーザーに話しかけるスタンスがより好まれるように感じています。ですので、Lmaga.jpニュースというアカウントを擬人化したときに「こういう個性で、こういう話し方をするのでは」というイメージで、ユーザーとコミュニケーションするような感覚でタイトルを考えていました。記事を見たユーザーが、それをまた誰かに話したくなるようなタイトルを付けられることが理想ですね。

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よく読まれた配信号を見ると、ユーザーに話しかけるような口調で、
「これって何のことだろう?」と内容が気になるタイトルが目立ちます


お話しいただいているように、LINEのトーク画面に記事が届くというアカウントメディアの仕様を生かしてLINEのトーク一覧でも目立つような思い切ったタイトルに挑戦してみたり、ユーザーに話しかけるようなタイトル付けを試してみたりするのはLINEの特性である「コミュニケーション」の文脈とも一致します。

記事内の一人称で「ユーザーが誰かに話したくなるような」工夫を凝らすメディアも


上記で抜粋したコメントにあるように、Lmaga.jpニュースでは「ユーザーが誰かに話したくなるようなタイトル付け」の工夫を意識されているそうですが、他にも、ユーザーがシェアしたくなるような試行錯誤を記事本文でも行っている例があります。

「朝日新聞withnews」の記者の三浦英之さんは、2021年のLINEジャーナリズム賞に輝いた記事で、一人称を工夫してみたと語ります。

新聞では使わない「僕」という一人称を使用したことで記事を読者に印象付けました
ただニュースを伝え、読んでほしいというだけではなく、届かせるにはどういう表現を使えばいいのか考えなければなりません。ノンフィクションでは主語は「私」ですが、今回はLINE向けに、10代にも届くよう「僕」という“もう一段優しい”一人称を使うことにしました。

「僕」が福島県の被災の状況を見てインタビューしていく形にすることで、読んでいる方が感情移入しながら、あたかも自分が取材しているかのように感じ取れるようにし、最後に伝えたいことを書きました。つまり、ニュースを伝達するのではなく、物語を読ませ、より深いところに届けるような手法を採用しました。

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さらに、「テレビ新広島」では報道部の石井百恵さん、編集長として放送やデジタル上での記事配信などに携わる福田康浩さんが下記のように語っています。

大学などで講義をする機会もあるのですが、若い方と接しているとネットの記事を“自分ごと”に置き換えて読んでいる方が多いようです。そして「自分はこう思うけど、どう思う?」と感想をコメントして周囲に回していくんですね。「拡散のスピードが違う」という話がありましたが、そのスピードはこういうことなんだな、と感じました。

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それぞれコメントをいただいたように、デジタルメディアの特性を生かした、誰かにシェアしたくなるような、話したくなるようなコンテンツになっているか?というのも、アカウントメディアでの運用時に意識していただけるとよいかもしれません。

引き続き、メディアのジャンル・特性に合わせて、タイトル付けやサムネイル選定でぜひメディアの個性を推し出していただけますと幸いです。

▼前編の記事はこちら


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