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「ええやん!」関西弁でユーザー支持1位、Lmaga.jpのLINEアカウントメディアの運用法とは?

新聞やテレビ局、週刊誌などのニュースを始め、スポーツ情報やファッション、趣味などさまざまなメディアが記事を配信している「LINEアカウントメディア」。毎年年末に行われる「LINE NEWS AWARDS」では、ユーザーから高い支持を受けたメディアを「LINEメディア賞」として表彰する取り組みを続けています。

2022年12月14日に開催されたLINE NEWS AWARDS 2022では、グルメ・レジャー部門で「Lmaga.jpニュース」が初受賞しました。

LINE NEWS AWARDS 2022にて、趣味・暮らしカテゴリーの表彰式の様子

Lmaga.jpニュースは「関西人による、関西が好きな人のための、関西を24時間遊ぶニュースサイト」として、記事配信の見出しに関西弁や駄じゃれを多用し人気を博しています。そんなLmaga.jpニュースの全体を統括している服部崇さん、編集・運用を担当する長田海友さん、営業・編成担当の岡田卓巳さんに運用のポイントや編集面で重視している指標などを伺いました。

左から順に服部さん、長田さん、岡田さん。オンラインでインタビューにご協力いただきました

新規ユーザーの拡大と既存ユーザーの使いやすさを考え、アカウントメディアに参画

——2022年のLINEメディア賞の受賞、おめでとうございます。2017年にアカウントメディアでの配信をスタートされてから今回初めての受賞ですね。

一同:
ありがとうございます。

——アカウントメディアに参画した経緯を教えてください。

服部さん:
Lmaga.jpはもともとPCユーザーの読者が多かったんです。しかし2017年になるころにはPCとスマートフォンの比率が逆転してしまいました。この事態に対応するためアカウントメディアというモバイルベースのプラットフォームに参画しようと考えたんです。

PCだとユーザーに記事へアクセスしていただく必要がありますが、アカウントメディアはプッシュでユーザーの手元に記事を届けられる点が魅力でした。新しいユーザーの獲得や既存ユーザーとの新しいタッチポイントを作っていきたいということで、参画の相談に至りました。

2010年7月オープンのLmaga.jp。
「関西を遊ぶニュースサイト」をコンセプトに、お出かけ情報やグルメ記事などを配信

——実際に配信を始めてから、アカウントメディアやユーザーの特徴についてどのような印象を持ちましたか。

服部さん:
他のニュースプラットフォームにも記事を配信していますが、LINE には他社プラットフォームとはまったく異なるユーザーが多いと感じました。そのため、LINEのユーザーに対して刺さる記事をどう届けるかブラッシュアップを続けてきた結果、今回の受賞にたどり着いたと思っています。

LINE NEWS AWARDS 2022での長田さん

長田さん:
やはり女性のユーザーが多いことが特徴で、お出かけ情報が最も読まれています。

アカウントメディアはLINEのトーク画面に記事が届くことから、タイトルやテーマを思い切って攻めてみた記事の方が、トークに埋もれずによく読まれる傾向にあるように思います。

よく読まれた配信号を見ると「これって何のことだろう?」と内容が気になるタイトルが目立ちます

曜日ごとの担当制をやめ、専任者によるデータ蓄積型の運用体制へ

——LINEメディア賞は、日々の配信に対するユーザーの満足度の高さを基に表彰が行われます。今回初の受賞につながった要因として、どんなことが考えられるでしょうか。

服部さん:
2017年にスタートしたときは、曜日で記事編成・配信担当者を割り振っていました。しかしそれだと定時配信のフィードバックが週に1度となってしまうので、なかなかデータが蓄積できないことが分かったんです。

そこで2年前から、営業を担当している岡田にアカウントメディア用の記事編成・配信を行う専任担当にもなってもらいました。岡田は編集者としての経験がなかったので、よりユーザーに近い目線で配信できるのではないかと考えたんです。岡田には自由な発想で配信してもらい、私はそれをチェックするという体制で進めました。さらにより若い感性を入れることも重視して長田にも参加してもらい、現在は岡田と長田の2名体制で進めています。

そうした体制の変更と同時に、データの蓄積にも本格的に取り組み始めました。同じようなネタでタイトルを変えてどれぐらい反応が違うのかを検証したり、画像の違いによって反応を見たりなど、日々データを分析し、試行錯誤してきました。

Lmaga.jpニュースの全体を統括している服部さん

——営業という立場でアカウントメディアの運用に携わるにあたって、岡田さんはどんなことを意識していましたか。

岡田さん:
まず意識していたことは「ユーザー目線であること」です。もし自分が取材をして記事を作る立場だったら、自分が担当した思い入れある記事を中心に選択・編成してしまうかもしれませんが、私はそれよりも「一読者にとって本当に有益な情報は何か」を常に考えるようにしていました。

服部さん:
自分自身もそうでしたが、編集者は自分が面白いと思うもの・自分が発信したいと思うものを選んでしまう傾向があるように思います。だからこそ岡田には、データに基づいてユーザーに読まれる記事を探っていくように伝えましたし、私も岡田が選んだ記事が編集者の目線ではイマイチだと思ったとしてもとりあえずGOサインを出すようにして、ユーザーの反応を観察しました。そうして蓄積されたデータに向き合い始めてから、「ユーザーとどのように距離を縮められるか」と考えるようになりましたね

長田さん:
私はデータとあわせて、身近な人の反応も大事にしています。友人や家族にお願いしてLmaga.jpニュースをフォローしてもらい、プッシュ通知を受け取ったときに一緒にいて、まずどの記事を見るかなどを観察しています。実はその反応が、全体の数値の良しあしと一致していることがとても多いんです。

開店情報の記事も、口語調でのタイトルがプッシュ通知で届くとますます気になります

「メディアとしての個性」を出し、話しかけるようなタイトルでユーザーにアプローチ

——データの分析と改善を繰り返していく中で、どんな気付きがありましたか?

岡田さん:
まず画像選びに関して「初見でなんの写真か分かりにくい画像はタップされない」ということが見えてきました。その一方で「あれ、これちょっと気になる。なんの建物だろう?」という絶妙な写真だとタップされやすいことが分かったんです。建物かどうか分からない写真はタップされないけど、「なんの建物なのか気になる」という絶妙な線で、そこに「新規オープン!」というタイトルが加わると、ユーザーの興味を引くんです。そうした癖になる、気になるもの、画像とタイトルを組み合わせたときの“違和感”をLmaga.jpニュースというアカウントの個性として大事にしています。

——タイトルではよく関西弁を使われていますよね。

岡田さん:
店名やイベント名と「行かな」という関西弁を組み合わせた「◯◯行かな」というユーザーに呼びかけるようなタイトルは反響が大きいですね。あとは何年か前に、台湾をイメージした飲食店の記事を出したときに「行きたいわん」という駄じゃれのタイトルを付けて配信したのですが、数値を見ると反応がよかったことをよく覚えています。

アカウントメディアでは、情報を届けるというよりも、タイトルを通してユーザーに話しかけるスタンスがより好まれるように感じています。ですので、Lmaga.jpニュースというアカウントを擬人化したときに「こういう個性で、こういう話し方をするのでは」というイメージで、ユーザーとコミュニケーションするような感覚でタイトルを考えていました。記事を見たユーザーが、それをまた誰かに話したくなるようなタイトルを付けられることが理想ですね。

1枠目が台湾をイメージした飲食店の紹介記事。遊び心のあるダイジェスト配信が目を引きます

——長田さんは記事選びや編成でどのような工夫をしていますか?

長田さん:
毎週5日間の配信なので、飽きられないことが一番のポイントと考えています。木曜日や金曜日は週末の予定を立て始めるタイミングなので、週末のお出かけ情報をトップに入れたり、逆に仕事始めの月曜日は憂鬱な気分になる人もいると思うので、明るいニュースを入れたりするなど、曜日ごとの気分に合わせて編成を考えています

連休前の木曜日に配信された記事。
週末に行けるお出かけスポットの情報を1枠目で紹介しています

ユーザーとの信頼関係を測る「エンゲージメントランク」を重視する理由

——数々の工夫でユーザーからの支持を積み上げてきたんですね。今回の受賞のベースとなっている「エンゲージメントランク」を重視されていると伺っていますが、その理由を教えてください。

服部さん:
今までは他のプラットフォームも、そしてLmaga.jp自身もPV数を指標にしていました。しかしエンゲージメントランクというのはそれと全く違うもので、ユーザーとの信頼関係の深さを測る指標ですよね。広告のことを考えるともちろんPVも大切なんですが、アカウントメディアではそれ以外にユーザーとの関係性を重視していることがとても大きいと思います。

私たちはもともと関西圏を足場とした出版社です。だからこそ、関西圏のユーザーの方とどのような関係を築けるか、どう向き合うかを考えていかなければなりませんし、実はそれこそがメディアとして長く続けていくことの大事な指標だと捉えています。この気付きがあったことが、アカウントメディアに参画した大きな意義だと思います。

今回の受賞もあってユーザーエンゲージメントの考え方は上層部にも広まっていますし、役員も含めてユーザーに支持されていることをとても喜んでくれました。PVだけではないメディアのあり方をさらに追求していきたいですし、そういう方向に変わってきたと思います。

アクセスが多かった配信号2つ。
身近な人に話しかけるような、キャッチーなタイトルがユーザーの注目を集めました

岡田さん:
営業面でいえば、エンゲージメントランクが上昇してきたことと比例して広告主の方からお声がけいただくことが増え、タイアップ案件の受注数が増加しました。ユーザーとよい関係を築くことがマネタイズやビジネス面にもいい影響を及ぼすことが分かってきたんです。

——ユーザーと良好な関係を保ち続けていくにはさまざまな苦労もあると思います。その点を踏まえ、Lmaga.jpニュースの今後についてお聞かせください。

服部さん:
長らく岡田と私の2人体制が続いていましたが、より若い感性を重視して長田に参加してもらい、体制のリフレッシュを図っています。現在は長田が定時配信を担当し、岡田と私でチェックをしていますが、近いうちに長田一人に任せるつもりです。同じ人間が同じことをやっていても、いつの間にか内輪ノリのようになってしまいます。それでは新しいユーザーは獲得し続けられませんからね。

一般論として、何かいい企画やアイデアを持つ若い社員がいても、ポジションが上がらないとなかなか意見できないという風潮があると思います。私自身、そういう現場を長い間見てきました。多くのユーザーに読まれるかもしれないヒットの予兆があっても、その可能性がつぶれていくんです。だからこそ、数字を一つの材料として考えていくことを徹底していきたいですし、長田のような若手の背中を積極的に押していきたいと思っています。

LINE NEWS AWARDS 2022の表彰式にて

長田さん:
服部や岡田の実績を踏まえつつ、私なりに試行錯誤しながらユーザーとの信頼関係を築き上げていきたいと思います。知り合いを増やしていくような感覚で、新しいユーザーに出会えればうれしいですね。

“関西のニュースを関西のユーザーにきちんと届ける”という思いで、エンゲージメントランク1位を維持できるように、挑戦を続けていきたいと思います。

「Lmaga.jpニュース」はLINEアカウントメディアで週5回ニュースを配信中。関西を遊ぶための情報をお届けします。

月・火・水・木・金の20時45分に配信
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LINEメディア賞についてもっと知る

LINE NEWS AWARDS 2022特設サイトにて、LINEメディア賞の受賞メディア一覧をご覧いただけます。
LINE NEWS AWARDS 2022特設サイトへ

また、LINE NEWS AWARDS 2022でLINEメディア賞を受賞した一部のメディア担当者様の登壇コメントを下記からご覧いただけます。