メディア×LINEで“知り続ける”特集を 11年を迎えた東日本大震災
東日本大震災から11年がたった2022年3月、LINE NEWSは新聞社やテレビ局、専門メディアなどと連携し「コラボ企画」として特集記事を展開しました。
特に甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島の東北3県を中心に、合計11のメディアと12記事を作り上げ、3月1日から14日まで、LINE NEWSのトップに掲載したものです。
11年を経た被災地・被災者の現状や思いを、一人でも多くのユーザーに届ける―。LINE NEWSは、メディアとユーザーの橋渡しとして機能できればと考えています。一連の企画では、記事タイトルに「#知り続ける」というハッシュタグを付けていただき、Yahoo!ニュースとの共同サイトにも掲載。その言葉には、何よりもまずは、被災地のことを知り続けてほしいという願いを込めています。
発生から10年という昨年を経て、また1年。数字上の節目を迎えて変化があった方もいらっしゃれば、発生当時から変わらない喪失や悲しみの日々を繰り返している方もいらっしゃいます。
帰還困難区域での親子の「故郷」への思い。津波で行方不明になった妻を探し続ける夫。被災当時の少女や、子の生活を守ろうと必死だった母親たちは、今何を思うのか―。風評被害の逆境に挑んだシェフを奮い立たせたものは―。各メディアが取材を重ね、11年という時を経たからこそ描ける、さまざまな人生がそこにはありました。
各メディアが取材をした背景や企画に込めた思いと共にご紹介します。
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「死も覚悟」貯金も客もゼロのシェフと
風評被害の農家、出会いが繋いだ復興への道
現代ビジネス(3月1日掲載)
▼現代ビジネスより
レストランHAGIを訪れたのは、昨年6月。たまたま通されたカウンター席で、萩シェフの福島食材へのあふれる愛を聞いた。
午前中は畑、漁港に赴き、夜と同等のランチも受け、午後は仕込みの合間に福島食材を使った加工品を農家と一緒に考える。そんなシェフに取材の時間をもらった。
そこで聞いた、死をも覚悟した絶望と苦しみ。それを救った農家の言葉。
風評被害のなんたるかも知らずに取材を申し込んだ無知で非力な自分にできることは、彼らの「今」を伝えることだけ。ネットに疎い50代の新米記者は、LINEの編集力と拡散力のおかげで、萩シェフの恩義に報いることができた。どちらに対しても感謝の言葉しかない。
(編集者 風間詩織)
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底のない悲しみに耐え…必死に笑った母たち。
11年経って開けた文集と、綴られた思い
CHANTO(3月2日掲載)
▼CHANTOより
「底のない悲しみに耐え…必死に笑った母たち──」。震災後も気丈に振る舞う母親とその子どもたちを支えるために石巻で母子の支援団体を立ち上げ、今も活動を続けている女性がいることを知り、取材をさせていただきました。配信後から多くの方に記事を読んでいただいた他、記事で取り上げた被災地の母たちの文集も、驚くほど購入者が増えたと聞きました。東日本大震災から11年目。「#知り続ける」というテーマにおいて、私たちが制作した記事が少しでも誰かの役に立てたのであればとてもうれしく思います。
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つらいなんて言えない。閉じ込めた思いと初めて流した涙。かつての少女は被災地に戻った
毎日新聞(3月3日掲載)
▼毎日新聞より
東日本大震災当時、幼かった子どもたちが、少しずつ、当時の不安や悲しみ、その後の心の変化を言葉にし始めている。記事を通じ、そうした若者の姿を伝えるとともに、今も被災の痛みを抱えながら生きる子どもたちへ、清水葉月さんの「話していいんだよ」というメッセージが届いてほしいとの願いも込めました。
LINE NEWSは若い世代の反応がとても大きく、実際、清水さんの元には、記事や動画を見た中高時代の同級生などから多数連絡があり、久しぶりに語り合ったと聞きました。震災に関する記事が若者世代に届き、思いを分かち合うきっかけになれば、うれしく思います。
(毎日新聞 石巻通信部 百武信幸)
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震災から11年 行方不明になった妻を捜し、
今日も女川の海に潜る夫
仙台放送NEWS(3月5日掲載)
▼仙台放送NEWSより
東日本大震災から10年、11年と時間が経過し、被災地では綺麗な街並みが出来始めています。しかし「2526人」もの方々が見つかっていないという事実がそこにはあります。高松康雄さんが「遺骨の一部でも連れて帰りたい」と話し、毎週海に潜り続ける強い思いをぜひ伝えたいと思いましたし、全国の方々に行方不明者について考えるきっかけにもしていただければと思いました。今回は、映像ではなく、文章の配信という機会を頂きました。多くの方に見ていただいたこと自体に喜びを感じますし、全国の方々に被災地の現状をさらに伝えられたのではないかと感じています。
(仙台放送 報道部 大山琢也)
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「帰ってきて」と娘に言えず…故郷を守りたいは
親のエゴ?バリケードが残る街の美容室
福島中央テレビニュース(3月7日掲載)
▼福島中央テレビニュースより
この記事を通して、お伝えしたかったのは「日常の尊さ」です。例えば、記事の主軸となっている“故郷”という存在。地元に帰ると安堵するあの感覚は、原発被災地の方にとって特別なものです。ありふれた当たり前がどれほど尊いものだったのか―。私はこの美容室に教えられました。
そして欲を言えば、福島を“自分ごと”にしてくださる読者の方が一人でもいらっしゃればと願っております。震災後に福島中央テレビに入社した私は、発災当時の福島を知りません。でもそんな私だから取材を通して見えてきたものもあると自負しています。「#知り続ける」その輪が広がることが、福島再生の追い風になると信じて、これからも伝え続けます。
(福島中央テレビ アナウンサー 直川貴博)
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さまざまな視点で見つめる
その他の掲載記事は以下からご覧いただけます。
▼現代ビジネス(3月4日掲載)
気仙沼で、南三陸で、田村で…20代の若者たちの「東北新規ビジネス」支える「地元の力」
▼福島民報(3月6日掲載)
戻らない。でも忘れない…古里への思い込めた手作りぬいぐるみ
▼河北新報ダイジェスト(3月7日掲載)
震災後入社の若手記者、被災地を歩く ~人と同じ目線に立つ。感じたことを大事に~
▼岩手日報(3月8日掲載)
“被災地”ではなく、「ただの古里」。釜石・鵜住居で失ったもの、生まれた絆
▼シネマトゥデイ(3月8日掲載)
3.11の現実、市民目線で記録〜アカデミー賞候補濱口監督の原点?
▼朝日新聞デジタル(3月9日掲載)
駅を降りたら壁画アート 11年を経て生まれた双葉町の〝ワクワク旅〟
▼NHK NEWS(3月14日掲載)
「何でもいいから役に立ちたい」 新人消防士たちが見つめた11年 東日本大震災
これからも
LINEでは、2021年に立ち上げたYahoo!との共同サイトで、震災にまつわる記事を紹介し、被災地への寄付も募っています。
LINE NEWSは、震災が発生した3月だけではなく、通年で被災地の様子をユーザーに知ってもらいたいと考えています。
また「コラボ企画」は震災に限らず、深く掘り下げた「社会課題」をテーマに、より一層、メディアの皆さまの取材成果を広く届けるお手伝いをさせていただければと考えています。
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