「スポーツ新聞はおじさんだけのものではない!」ユーザーの3割以上がZ世代の阪神Vデイリー
現在470を超える数のメディアが参画している「LINEアカウントメディア」(2024年1月時点 LINE MOOK、AM Selectを含む)。
新聞やテレビ局、週刊誌といったニュース報道をはじめ、ファッション、グルメ、レジャー、趣味など、さまざまなメディアが記事を日々配信しています。
アクセス数に偏重しないコンテンツ流通を拡大するために、LINE NEWSでは各メディアの配信に対するユーザー満足度を独自の指標で算出。
毎年年末に行われる「LINE NEWS AWARDS」では、参画メディアを13ジャンルに分け、ユーザーから最も支持を得たメディアをその年の「LINEメディア賞」として表彰する取り組みを続けています。
いわずもがな2023年は、38年ぶりに2度目の日本一となった阪神タイガースにとって記念すべき年。阪神ファン向けアカウントである「阪神Vデイリー」は、2023年に見事、スポーツ部門でLINEメディア賞を獲得する運びとなりました。
特筆すべきは、アカウントメディアにおけるZ世代ユーザーの比率の高さ。スポーツ新聞の読者層とは異なるユーザーを多く抱えるデイリースポーツウェブ編集長の弓場伸浩さんに、お話を伺いました。
若者や女性との出会いが少ないスポーツ新聞
——LINEメディア賞受賞おめでとうございます。
ありがとうございます。2023年にいろいろな方に読んでいただき、こうして表彰までしていただけたのは、ひとえに阪神タイガースが強かったおかげだと思っています。
阪神がどんどん勝って、世間の関心もどんどん高まり、ニュースに対するニーズもどんどん増えた一年でした。
これはそんなニーズにうまく応えることができた結果なのかな、と受け止めています。
——阪神Vデイリーでは普段どのような記事を配信していますか?
われわれは、神戸にあるスポーツ新聞「デイリースポーツ」が運営しているメディアです。
毎日発行されるデイリースポーツの記事の中から、阪神ファンが読みたいであろうものを編集部で選んで毎日配信しています。
試合に勝てば「勝ったぞワッショイ!」という記事でしたり、選手の裏側や、岡田監督の語録、現場でしか分からない記者のコラムなどもあったりします。
——それにしても、ユーザーにおける若者の割合の高さが目立ちます。
15〜29歳のユーザーが全体の3割を超えておりまして、女性ユーザーも増えてきています。
昨年は例年通りに運用していたのですが、この結果には驚きました。本当に時流に乗れたおかげだと思います(笑)。
——Z世代は1990年代半ば~2010年代序盤生まれとされているので、その統計に入っていない10代前半の存在を考慮したら、全体の4割くらいはZ世代と言えるかもしれませんね。
スポーツ新聞は若者や女性との接点がそんなにないメディアなので、とてもありがたいです。
どうしてもおじさんが読んでいるものというイメージが強いので、われわれとしては、若者や女性といった普段、紙のスポーツ新聞を読まない層にいかに読んでもらえるかという課題がずっとありました。
地道な積み重ね×キッカケ=新領域
——アカウントメディアを始められたのも、そんな新しい出会いを求めてのことなのでしょうか?
そうです。LINEさんからお話をいただいて2019年10月から始めることになり、最初は「これでやっと若者に訴求できる」と思っていました。
紙の新聞などと比べるとLINEには膨大な数の若い人がいるので、そこに出せば記事を読んでもらえるんじゃないかと期待したわけです。
——実際はどうでしたか?
いざ始めてみると、なかなか若者に読んでもらえないという状態が続きました。「やっぱり阪神というテーマそのものが厳しいのかな…?」とすら思ったほどです。
ですので、今回の結果には非常に驚きましたし、それだけ昨年は阪神というコンテンツが魅力的だったということでもあると思います。
また、われわれが地道に積み重ねてきたことは決して間違っていなかったんだと、再確認することもできました。
——若者向けとして特別に何かをせずとも、そのものが面白くなりさえすれば自然と若者もついてきてくれるんですね。
話題が乏しくなるオフシーズンの間でも楽しく読めるコンテンツがそろえられるのは、ひとえに現場の記者の努力によるものですし、毎日出さなきゃいけないという紙の新聞のノウハウのたまものです。
そういったコツコツ続けてきたものが阪神優勝でようやく花開いて、今回の結果につながったのかなと考えています。
とにかく皆さんにデイリーを知ってもらいたい!
——デイリースポーツさんは、かなり早い段階からデジタル化を進めていた新聞社というイメージがあります。
そうですね。スポーツ新聞各紙がある中で、デイリーは割と小規模というか、全国紙ではありながらも地方紙色が強いというところがあります。
他社さんと戦っていくにはどんどん新しいことを取り入れていく必要があるため、社風として、現場の意見が通りやすく、フットワークが軽いというのが強みです。
僕が入社した20年ちょっと前からすでに「これからはWebメディアにも注力しないと生き残れない!」という雰囲気がありました。
——常に攻めの姿勢なんですね。紙面とデジタルのすみ分けや連動はどのようにしていますか?
紙の新聞を読む人、ネットニュースを見る人、LINEを見る人は、多少かぶるところはあっても基本的にはそれぞれ違う人たちだと考えています。
したがって、まずはそれぞれのところでデイリーを知ってもらうということがすごく大事になってきます。
だからわれわれは紙にも全力ですし、ネットニュースにも、LINEにも、全ての方向に対して全力でニュースを届けるというスタンスです。
——メディアによってコンテンツを出し分けるのではなく、同じニュースを全方位に届けていくという考え方なんですね。
はい。基本的にはそういうイメージです。とはいえ、それぞれのメディアの特性によって多少変えているところもあります。
特に若者向けとしての役割を期待しているアカウントメディアは、記者のコラムや選手の裏側などネットで好まれる軽い読み物を入れるようにしています。
アカウントメディアは“推し活メディア”としてちょうどいい
——見出しや写真で工夫している点はありますか?
基本的に新聞の見出しは「誰々」が「どうした」というように、必ず主語と、述語あるいはカギカッコの発言が入ります。
しかしアカウントメディアは“ユーザーがみんな阪神ファン”という前提に立つことができます。
なので「いちいち名前を書かなくても顔を見たら分かるよね?」というコミュニケーションをとることができるんです。
——なるほど。ファン同士の言語で会話できるんですね。
そうなんです。例えば、三つある画像枠では、見出しに主語がなくても通用します。
だから述語が面白いワードだったり、選手が面白い発言をしたりしたときは、写真を主語の代わりにすることで、述語や発言を削らずにそのまま入れることができます。
——そんなユーザーとの距離感の近さがアカウントメディアの特徴であると言えそうですね。
アカウントメディアはユーザーからすると簡単に購読できますし、フォーマットが“推し活メディア”としてちょうどいい分量なのかもしれません。
トップの記事は紙面の一番大きな記事と同じにしますが、ダイジェスト面を一目見たときになるべく興味を持ってもらえるよう、「こういうネタが一つくらいあってもいいよね?」という思いで息抜きのできるコンテンツを入れるのがアカウントメディアの運営方針です。
また、記事はSNSに流れてきたものを読むというスタイルが一般化した今、その記事がどのメディアのものなのかまで意識して読むことがあまりなくなりました。
そういう状況の中で、アカウントメディアは「デイリーの記事だ」と意識しながら楽しんでいただくことができる貴重な場でもあると捉えています。
——なるほど。デイリースポーツのファンを増やせる場というわけなんですね。
そうですね。デイリーを知っていただいて、ファンになっていただいて、最終的には紙の新聞やWeb紙面といった弊社の商品をご購入いただけたらいいなと…。
もともと阪神Vデイリーは同名の球団公認アプリの知名度向上の一環として始めたという経緯もありますので、その有料会員になっていただけるサイクルが生まれたら理想的です。
——今後、阪神Vデイリーを運用していく上での目標を教えてください。
「阪神見るなら」「芸能見るなら」「ニュース見るなら」のファーストチョイスがデイリーになってくれるとありがたいです。
そのためにまずは、一人でも多くの方に読んでもらって「デイリーやるやん!」と思っていただけたらうれしいです。すごいね、がんばってるねと。
そんな感じでわれわれは日々やっています。
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